Grand Chef’s Kitchen
2021年7月に開業したショッピングモール「イオンモール白山」内に計画したレストラン街。『グランシェフズキッチン』と称するこのフロアは、日本を代表する有名シェフが監修する飲食店を含む6店舗で構成された、国内唯一の業態となる高感度レストランゾーンとして企画された。 全体のデザインコンセプトとしては、約440坪のフロア中央に配置したパティオ(屋内緑化)を囲むように開放的なインドアテラス席を設け、それぞれのファサードデザインを展開した各店内はオープンキッチンスタイルとし、躍動感溢れる調理風景が間近に見えるカウンター席、落ち着きのあるテーブル席で構成した、緑を感じながら五感で料理を味わえる美食のエンターテインメント空間を演出した。 ショッピングモールという商業施設において、統合的に新たな食の街をつくるという従来にはない試みによって、個々の店舗が一体となって、地域に根差した食文化を発信し、賑わい溢れる場を生み出すことで、より多くの人に豊かな食体験を楽しんでもらえるよう願っている。 「パティオ」 サブゲートとモール内通路を貫く共用スペースに、造形的な段状の花壇を配し、自動潅水システムと、タイマー制御により時間帯に応じてシーンが変化する照明システムを導入した屋内緑化を施した。中央に設えたステージでは、演奏会等の様々なイベントを行う事ができ、非日常体験を愉しめるシチュエーションをつくり出している。 「ビストロ イルドレ(フランス料理)」 モノトーンを背景に、シェフのイメージカラーである赤、ゴールドをアクセントとし、インドアテラス席に深くテントを張り出し、賑わいのあるパリのビストロを感じさせるイメージとした。 「イル・ケェッチァーノ(イタリア料理)」 ライトグレーを基調に、木と鉄の質感を取り入れ、テーブル席の背面に、地中海をイメージしたマリンブルーの色彩を表現し、カジュアルなトラットリアの雰囲気を演出した。 「らはさか(日本料理)」 オープンキッチン内に設えたガラス張りの炉端ブースを囲むように、コの字型のカウンターを配置し、焼杉、瓦、土壁、和紙、拭き漆等、和の素材感を活かした赴きのあるインテリアとした。 「招龍亭(中国料理)」 ファサードに中国現地で製作したオリジナルの組子を据付け、店内はモダンチャイニーズをコンセプトに、中国の古典的な様式と現代的なテイストが融和したデザインとした。 「カフェ ドゥ アッシュ(スイーツ・カフェ)」 入店者の流れを考慮し、モール内通路からアクセスできる販売コーナー、パティオに面するテラス席及びイートインスペースが店内で繋がるゾーニング計画とし、視認性を高める効果を意識した。(※この区画は基本設計及び監修のみ) 「学生のパン屋さん(ベーカリー)」 モール内通路に面して間口いっぱいに販売コーナーを構え、オフホワイトをベースに明るく爽やかな空間の中、ジュエリーショップの様なショーケースに商品を整然と陳列し、購買意欲を湧かせるような什器レイアウトとした。